この作品は第２次世界大戦後、間もない頃に作られたもので、当時の急速に発展した「組み立て」技術を充分に発揮している。HBプロセスの出現と平行してこの「組み立て」という技法が生まれた。写真を文字や他の写真と組み合わせる工程を指す。写真を分解した網点状のネガフィルムは、他のネガやマスクと組み合わせて多重露光をして1枚のポジフィルムに集約する。手描きの石版画や木版画では考えられなかった工程であり、いわゆるシュールレアリスム的表現が可能になったのである。（田中一光）

1991年 凸版印刷株式会社 刊  Best 100 Japanese Posters,1945-1989